2016/02/04(Thu) 07:52 No.2074
Re: シラヤマギクのツボミフクレフシ? 投稿者:Nabita
硬い蕾を開いてみたら、中にはハエの蛹がありました。キク科の頭花を利用しているということで、ケブカミバエ亜科の可能性が考えられ、そうであれば私でも同定できる可能性が高いので、とりあえず羽化を期待することにしました。
寄主植物:
撮影年月日:年月日/
2016/02/04(Thu) 07:54 No.2075
Re: シラヤマギクのツボミフクレフシ? 投稿者:Nabita
この蛹は解体したゴールごとプラシャーレに入れて置いたら、1週間ほどで無事に羽化して、ツマホシケブカミバエであることがわかりました。ケブカミバエ亜科はキク科の頭果内で種子を摂食するものが多いのですが、今回見つかったものは白色の舌状花がゴールに残存しているなど、種子利用とは異なり、胚珠を摂食していたのではないかと考えられます。これにより開花に至らなかったのであれば、ゴールと見なし得るのではないかと思います。
ちなみに、アザミやコウゾリナの頭果を割れば幼虫や蛹を見つけやすい、キイロケブカミバエやコウゾリナケブカミバエは、内部で種子を食害しますが、それらの頭果の頂部には枯れた花弁か伸びてきた冠毛が見られ、開花後のものであるのがわかります。
寄主植物:
撮影年月日:年月日/
2016/02/07(Sun) 21:28 No.2077
Re: シラヤマギクのツボミフクレフシ? 投稿者:湯川淳一
Narita 様:シラヤマギクのツボミフクレフシがミバエの虫えいであったこと、また、虫えい形成者がツマホシケブカミバエであったことなどをご投稿頂き、誠に有難うございました。私も初めて見るものでしたので、勉強になり、喜んでおります。ミバエの専門家に連絡しておきます。
2016/02/08(Mon) 20:31 No.2078
Re: シラヤマギクのツボミフクレフシ? 投稿者:Nabita
湯川先生、コメントありがとうございました。ツマホシケブカミバエは普通種というわけではありませんが、何回か採集したことがあります。ゴールを探すようになってから、シラヤマギクは3か所でしか見たことがないので、他のキク科、特にAster属の別の種も利用しているかもしれないので、今後とも注意してみたいと思います。良く似た同属種にツママダラケブカミバエというのもあるので、こちらの宿主も見つかればいいですね。
2016/02/09(Tue) 20:29
No.2080 
Re: シラヤマギクのツボミフクレフシ? 投稿者:ハンマー
Nabita様、いつも興味深い投稿をありがとうございます。
今回のミバエについては、完全に忘れていましたが、お写真をみて思い出しました。
2012年にヒヨドリバナに産卵するミバエを撮影して、「一寸のハエにも五分の大和魂・改」という双翅目の掲示板に投稿し、ツマホシケブカミバエだろうというご意見をいただきました。参照URLをご覧ください。同じキク科とはいえヒヨドリバナとシラヤマギクではかなりかけ離れているように思いますが、いかがでしょうか? なお、ヒヨドリバナでハエのゴールを見たことはありません。
2016/02/10(Wed) 20:29 No.2082
Re: シラヤマギクのツボミフクレフシ? 投稿者:Nabita
ハンマーさま、コメントありがとうございます。「一寸のハエにも五分の大和魂・改」は私も毎日チェックしているのですが、ハンマーさんの投稿は全く忘れていました。この属は一応斑紋で区別できると認識していたので、ハンマーさんが観察されたものも同種のように思います。確かに植物どうしはあまり近縁ではないですので、ホストレンジが広いのかもしれませんね。湯川先生がミバエの専門家に掲示板へのコメントをお願いしてくださったようですので、近日中によりはっきりしたことがわかるかもしれません。
2016/02/15(Mon) 13:40 No.2084
Re: シラヤマギクのツボミフクレフシ? 投稿者:末吉昌宏
末吉と申します。湯川先生からこの記事の紹介をいただきました。
寄生者はツマホシケブカミバエ Trupanea convergens です。ヤクシソウなどが寄主植物として知られており、ヒヨドリバナからも羽化しているようですね。シラヤマギクは寄主植物として新しい発見になります。
属 Trupanea の種には多数のキク科植物を寄主とするものも知られており、虫えい形成者も世界から何種類か知られています。
今回のシラヤマギクの蕾に虫えいが形成されたかどうかは(例えば、花床や萼片の組織の肥大や増殖があったかどうか)を確認しないと何とも言えません。花が咲く前に胚珠を食べてしまって、その空洞で蛹化したように見えます。ヤクシソウの蕾も寄生されるとそのような感じで食害されており、萼片に多少の変形がありましたが虫えいという感じはしませんでした。
2016/02/15(Mon) 20:20 No.2085
Re: シラヤマギクのツボミフクレフシ? 投稿者:Nabita
末吉さま、ミバエの専門家としての、丁寧で詳しいコメントありがとうございました。
最初に種名の判定をしてくださったので、一瞬誤同定だったかとあせりましたが、そうではなかったようで休心しました。
確かに虫えいと断じたのは早計だったようです。タマバエでは、植物に入っている場合は、肉眼的な変形がわからない場合でも、深く考えずに虫えいとして掲示板に投稿していましたので、ついいつもの癖が出ました。
ただ、総苞が融合したように固くなっているなど、ただ単に蕾の内側を食べられただけではない変化がありますので、産卵されたタイミングの問題だけかもしれませんが、この掲示板では準虫えい的な扱いでも許容範囲となりませんでしょうか。いずれにしろ、新宿主ということで、わざわざ末吉さんにおいでいただいたかいがありました。