2019/04/02(Tue) 13:40 No.3450
Re: ヤナギ枝の虫えい? 投稿者:湯川淳一
Tominaga 様:ご投稿のヤナギの虫えいは、ヤナギマルタマバエ Rabdophaga salicivola Shinji, 1938 によって形成されたヤナギエダマルズイフシ C-0210 だと思います。虫えい図鑑では、北米の Rabdophaga rigidae Osten Sacken, 1862 とされていたのですが、Sato & Yukawa (2006) によって、修正されました。この論文の PDF をご希望の方々は、南さんを通じてお知らせ下さい。私から、直接、お送り致します。
これまで、シダレヤナギ、バッコヤナギ、カワヤナギ、シロヤナギ、キヌヤナギ、コリヤナギ、コウライヤナギに近縁の1種、ジャヤナギ、コゴメヤナギ、ウンリュウヤナギで見つかっています。もし、今回のヤナギがオオタチヤナギですと、初めてのことです。ヤナギの名前が確定しましたら、ご教示頂けますと有難いです。
この虫えいは、これまで、北海道、青森、岩手、宮城、秋田、新潟、福井、和歌山、兵庫、徳島、福岡、および、朝鮮半島と極東ロシアで見つかっています。岐阜県からは、初めての発見です。今後、各地で発見されることと思います。河川敷のヤナギに多いと思います。
2019/04/02(Tue) 21:41 No.3451
Re: ヤナギ枝の虫えい? 投稿者:Tominaga
湯川先生
ご教示いただきありがとうございました。
ヤナギ標本は雌花序がついていましたので、花による同定を試みました。「ヤナギハンドブック」によると、腹腺体のみ1個しかないことからオオタチヤナギでよいと思います。
その他のヤナギ標本でも枝がふくらんでいるものが見つかりましたので、また報告したいと思います。
余談ですが、タマバエ命名者のオステン・サッケンといえば南方熊楠さんと「ネイチャー」誌上でやり取りをした学者ですね。
2019/04/03(Wed) 22:46 No.3452
Re: ヤナギ枝の虫えい? 投稿者:Tominaga
湯川先生
別の標本でみつけましたので画像を添付します。
コゴメヤナギの枝がふくらんでいるもので、ヤナギエダマルズイフシと思われますがどうでしょうか?
採集場所は京都府城陽市の木津川の河川敷、採集年月日は2007年9月7日です。
寄主植物:コゴメヤナギ
撮影年月日:年月日/
2019/04/04(Thu) 06:42 No.3453
Re: ヤナギ枝の虫えい? 投稿者:南 常雄
Tominaga様、ご投稿ありがとうございます。
この写真では、虫えい頂部に脱出孔が見られないので別種と思われますが、脱出孔の有無をご確認ください。
2019/04/04(Thu) 12:26 No.3454
Re: ヤナギ枝の虫えい? 投稿者:湯川淳一
Tominaga 様:No. 3449 のヤナギエダマルズイフシの寄主植物がオオタチヤナギとお知らせ下さり、有難うございました。新しい寄主植物として、リストに記入しておきます。Osten Sacken は、タマバエに限らず、様々な昆虫でも命名者になっています。
さて、No. 3452 の虫えいは、ヤナギエダマルズイフシより細いので、迷っています。元々、細いのか、乾燥して細くなったのか分かりません。虫えい図鑑の22ページの C-020b と C-021b に虫えいの内部を示す写真が出ていますので、内部をご確認頂けますれば幸いです。
脱出口は、寄生蜂の場合、写真のように小さな穴が虫えいの側部に見られることもあります。ヤナギエダマルズイフシの羽化脱出口は、南さんのおっしゃる様に、虫えいの頂部に形成されます(写真 C-021b)が、ヤナギエダカタガワフシ C-020 やヤナギエダコブフシ C-035 では、タマバエの羽化脱出口も虫えいの側部に形成されます。
2019/04/04(Thu) 15:25 No.3456
Re: ヤナギ枝の虫えい? 投稿者:南 常雄
湯川先生、そうそうご教示をありがとうございます。
3月末に撮ったヤナギエダマルズイフシの写真がありましたので、黄色矢印の脱出口をご参照ください。細い部分は筒状で先から幼虫室に通じています。Tominaga様の1枚目の写真では、脱出口が確認できます。
寄主植物:シロヤナギ
撮影年月日:2019年3月31日/北海道旭川市
2019/04/04(Thu) 21:33 No.3457
Re: ヤナギ枝の虫えい? 投稿者:Tominaga
南 常雄 様、湯川先生
ご教示ありがとうございます。
脱出孔というと孔が開いているのを想像していました。突起状になっている部分が脱出孔ということですね。2枚目の写真にはそれらしいものが見あたりませんでしたので縦半分に割ってみました。中心に空洞があり上に伸びているのが確認できました。この先に脱出孔があるということでしょうか。
なお、空洞内に幼虫と思われる死骸?がありました。形成途中で幼虫が死んでしまったか寄生蜂にやられたため、あまりふくらまなかったのかもしれません。
寄主植物:
撮影年月日:年月日/
2019/04/04(Thu) 22:25 No.3458
Re: ヤナギ枝の虫えい? 投稿者:南 常雄
写真をありがとうございます。
突起が筒状に伸びていますね。ヤナギエダマルズイフシで間違いないと思います。
虫えいの突起部が少し切れていますが、写真を添付します。
今まで、自分は本虫えいの突起部を脱出孔としてきましたが、湯川先生の「羽化脱出口」を使います。
寄主植物:
撮影年月日:2008年2月8日/北海道鷹栖町
2019/04/05(Fri) 14:14 No.3460
Re: ヤナギ枝の虫えい? 投稿者:湯川淳一
Tominaga 様:虫えいの解剖結果をご投稿下さり、有難うございました。南さんのおっしゃる通り、ヤナギエダマルズイフシですね。途中で幼虫が死亡し、虫えいが大きくならなかったのでしょうね。京都府からは初めてのご報告ですので、私のリストに追加させて頂きます。
南様:羽化孔や羽化脱出口、脱出口など、様々な呼び方がありますので、お気になさらないで下さい。
2019/04/05(Fri) 16:47 No.3461
Re: ヤナギ枝の虫えい? 投稿者:南 常雄
湯川先生、ご教示ありがとうございます。
2019/04/05(Fri) 22:01 No.3463
Re: ヤナギ枝の虫えい? 投稿者:Tominaga
南 常雄 様、湯川先生
2枚目の虫えいもヤナギエダマルズイフシとのこと、ご確認いただきありがとうございました。
木津川は淀川に合流していますので、下流の大阪府でも見つかる可能性が高いと思います。淀川に行くことがあれば気を付けてみます。