2018/01/21(Sun) 22:28 No.2944
Re: これはアセビツボミトジフシでしょうか? 投稿者:Tominaga
中に入っていた蛹の写真です。
寄主植物:
撮影年月日:年月日/
2018/01/22(Mon) 13:44 No.2945
Re: これはアセビツボミトジフシでしょうか? 投稿者:湯川淳一
Tominaga 様:ご賢察通り、写真の虫えいはアセビツボミトジフシです。これまで、宮城県、栃木県、東京都、神奈川県、三重県、京都府、徳島県、福岡県、大分県、鹿児島県で発見されています。奈良県からは、初めての発見です。
蛹は、典型的なハリオタマバエ Asphondylia 属の形態を示しています。それにしても、この時期に蛹とは、非常に驚きました。冬寄主で越冬するハリオタマバエ類は、この時期は、まだ、1齢幼虫のはずです。1齢幼虫が発育を開始できる温度(発育ゼロ点)は、大抵10℃以上ですので、この時期に蛹まで発育できるとは、到底思えません。アセビツボミタマバエ Asphondylia sp.は蛹越冬かもしれません。そうだとすれば、大変珍しい例になります。薄葉さんのご報告 (1982) では、5月15−20日に多数羽化したと書かれています。
大変面白い例をご報告頂き、有難うございました。
2018/01/22(Mon) 22:29 No.2946
Re: これはアセビツボミトジフシでしょうか? 投稿者:Tominaga
湯川先生
アセビツボミトジフシと確認していただきありがとうございます。
アセビツボミトジフシ13個を調べたところ、蛹が入っていたのは5個、幼虫が入っていたのは2個、中身が入っていなかったのは6個でした。なお、中身がなかったものには寄生された痕跡はありませんでした。
奈良公園のアセビはまだ開花していませんが(わずかに数個開花がみられた程度)、開花期間は通常2月末から4月初めです。単にアセビの開花が早いからということではなく、気象条件が関係しているのでしょうか。広い範囲で確認されていますので、各地の状況を調べてみると面白いかもしれません。
奈良公園にはアセビがたくさんあります(シカが食べないため)。また、気軽に行きやすい場所ですので、いつ頃羽化するのか気を付けてみたいと思います。
2018/01/23(Tue) 00:15 No.2947
Re: これはアセビツボミトジフシでしょうか? 投稿者:湯川淳一
Tominaga 様:アセビツボミトジフシに幼虫も入っていたとのこと、胸骨のある3齢幼虫でしたでしょうか? 幼虫もいるとなると、蛹越冬ではなく、幼虫越冬で、最近蛹化した可能性もありますが、写真の蛹は、蛹化後、かなり時間が経過しているもののようでした。今後の羽化時期や発育の状況など、観察していただけますれば有難いと存じます。おそらく、羽化後、春ー夏寄主に産卵するものと思われますが、まだ、産卵対象候補の植物は判明していません。今後が楽しみです。
2018/01/23(Tue) 23:56 No.2948
Re: これはアセビツボミトジフシでしょうか? 投稿者:Tominaga
湯川先生
幼虫を確認したところ、胸骨らしいものが見えました(写真)。
蛹は先の写真の色のほか、黒っぽい色をしているものもみられました。また、最近蛹化したと思われるうすい茶色をしている場合もありました。
今後も観察を続けたいと思います。
寄主植物:
撮影年月日:年月日/
2018/01/31(Wed) 22:41 No.2949
Re: これはアセビツボミトジフシでしょうか? 投稿者:Tominaga
後日に奈良公園を歩き回ってみたところ、アセビはたくさんありましたが虫えいは3か所でそれぞれ1個ずつしかみつけられませんでした。一方、最初にみつけた場所では、さらに多くの虫えいをみつけることができました。虫えいの分布は局所的なようです。
2018/02/01(Thu) 13:41 No.2950
Re: これはアセビツボミトジフシでしょうか? 投稿者:湯川淳一
Tominaga 様:アセビツボミトジフシから得られたタマバエの幼虫の写真をご投稿くださり、誠に有難うございました。胸骨は典型的な四山型でしたので、このタマバエは、ハリオタマバエ Asphondylia 属の一種であることがはっきり確認できました。蛹には、薄い茶色と黒いものがあるということですので、3齢幼虫越冬で、現在も発育中であることが分かりました。複眼が黒くなりますと、羽化が近いと思います。羽化した成虫は、どこに産卵するのでしょうか、とても興味があります。それにしましても、この低い気温で発育しているこのタマバエには驚くほかありません。
ちなみに、アメリカでコムギを加害するヘシアンタマバエ Mayetiola destructor の発育ゼロ点は 1.6℃、韓国のマツバノタマバエ Thecodiplosis japonensis は 5.1-6.1℃ と低い温度が報告されていますが、これまで調査された日本産のハリオタマバエはすべて 10℃以上です。
ところで、以下はご参考までに。公園で、虫えいから成虫が羽化した証拠の蛹の抜け殻を、3〜5日おきに(不定期でも構いません)抜き取って75%エタノールに保存し、数を記録しておきますと、最終羽化に至るまでの累積羽化曲線を作成することができます。また、同時に、50%羽化日も判明します。さらに、蛹の殻で雌雄の判別が可能かもしれませんので、雌雄の羽化曲線の比較もできるかも知れません。私が近くなら、調査に行かせていただきたい所ですが、遠くて残念です。
2018/02/03(Sat) 23:28 No.2951
Re: これはアセビツボミトジフシでしょうか? 投稿者:Tominaga
湯川先生
幼虫をご確認いただき、また、羽化の調査方法を詳しく教えていただきありがとうございました。
この冬は平年より寒い日が続いていますが、幼虫や蛹は大丈夫なのでしょうか。頻度は多くありませんが奈良公園へはまた行く機会がありますので、抜け殻のチェックもしてみたいと思います。
2018/02/04(Sun) 18:19 No.2954
Re: これはアセビツボミトジフシでしょうか? 投稿者:湯川淳一
Tominaga 様:奈良公園にいらっしゃる機会がおありとのこと、今後の情報を楽しみにしております。何せ、薄葉さんのご報告では5月に羽化となっていますので、その違いが気になっています。よろしくお願い申し上げます。